17.アルミ形材の色調の違い

ひとつの製品においてアルミ形材の色調に違いがかんじられることがあります。

<アルミ形材の見え方>

アルミ形材は見る角度により、たて材と横材の組み合わせで、同じ色調でありながら微妙に色の差が出ることがあります。これは表面処理の特性であり、色調不良や色むらではありません。表面処理による被膜及び塗膜により光の屈折具合に差が生じ、微妙な色調の違いになるためです。また、電灯か自然光か、自然光でも晴れの時か曇りの時かなど、光の当たり具合により色の差が出ることがあります。

              

<表面処理とは>

アルミ形材は、元来美しい地肌と優れた耐食性をもっていますが、さらにその性能を向上させ意匠性を付加するために、各種の表面処理が施されており、陽極酸化塗装複合皮膜、着色塗膜(塗装)、陽極酸化皮膜などの種類があります。
近年、アルミ形材の表面処理方法は多様化してきていますが、サッシや玄関ドア等に使用するアルミ形材では二次電解着色(陽極酸化塗装複合皮膜)による表面処理が主流となっています。

<二次電解着色(陽極酸化塗装複合皮膜)について>

アルミニウムは素地のままでは腐食しやすいので、腐食を防ぐために硫酸などの液の中に浸し一次電解処理(アルマイト処理)することにより陽極酸化皮膜を生成します。その後、錫(すず)やニッケルを含んだ液に浸し、電流を通じて二次電解処理します。下のイラストにように陽極酸化皮膜にはたくさんの孔が開いており、この孔に錫(すず)やニッケルが入り込んでいきます。この孔に入った錫(すず)やニッケルによりアルミ形材の表面が着色されますが、一定の色調にするために液の濃度、処理時間などの管理をおこなっています。この二次電解処理による着色は、建材で使用されるアルミ形材の着色方法として多く使用されています。さらにキズが付きにくくするために、表面に透明な塗料で電着塗装をします。
日本産業規格(JIS H 8602)では、陽極酸化皮膜の平均厚さを5㎛以上と規定しています。
*単位の説明:㎛(マイクロメートル)=1/1000㎜